
審神者「なつかしぃー」
鯰尾『何、それ?』
審神者「専門の卒業論文。
この考察文とポスターは私が書いて作ったんだよ」
鯰尾『へー。 読んでいい?』
審神者「どうぞ。
元々は感染症についてじゃなくて「どうして医者は風邪を引かないのか」って内容でチーム内で話がまとまったのに、後日先生から正式決定で渡されたタイトルが「感染症について」になっていて、他のチームも同じ感じで提出したのと全然違う内容に手直しさせられて、しかも作る側のこっちの許可もなくそれで正式決定されて不満と士気の低下が酷かった。
「だったら最初から先生が決めればいいじゃん。前回話し合った無駄な時間、何?」って」
骨喰『個人じゃなくて、チームか……。
何人ぐらいでやっていたんだ?』
審神者「チームによって違うけど、うちのところは私も含めて6人だった。
まー、卒論より就活優先だったから、早く就活が終わった子がほとんどやるって感じで。
どのチームも実際にやってたのは1人~3、4人ぐらいだったけどね」
鯰尾『みんな何人かでやってるのに、1人でやる人もいるんだ。 可哀想』
審神者「1人だと周りと衝突せずにスムーズに進められるから楽だったよ」
鯰尾『えっ、主、1人でやってたの?』
審神者「私の内定決まったの、学年で2、3番目だったから。
たまに他の子が居た時もあったけど、最初の方は1人のことが多かった」
骨喰『待て。 あんたが作ったのはこの考察文と横のポスターだけなんだろう?』
審神者「そだよー」
鯰尾『じゃあ1人で何やってたんだよ!
幾らこういうのが得意だからって、まさか最初からまとめの考察を書いてたわけじゃないでしょ?』
審神者「どんな資料が必要で、何をどういう風にまとめて、どうパワーポイントに落とし込めばいいのかの骨組みを作ってた。
学校支給のUSBに保存してやってたから、リーダーと先生に持ち帰る許可貰って家でパワーポイントのスライドを最初から最後まで全部作って簡単な仮文章を書いてBGMとSEもつけて、後はそこにちゃんとした文章と参考資料のグラフとかを載せれば完成ってところまで全部1人で作って、リーダーに見せてOKもらって、他のメンバーにも見せたらかなり好評でこの流れでみんなで頑張ろうって士気がもう一度高まったところに、他のチームのUSBにウイルスが入ったとかで全チームのUSBが没収されて最初から作り直しさせられた」
鯰尾『うわっ、それは心折れるね……』
骨喰『機械のことは詳しくはないが、感染していないUSBなら大丈夫なんじゃないのか?』
審神者「うん、そう思うけど……。
学校側は念の為にって全部没収して業者呼んでウイルスクリアをパソコンに入れてた。
っていうか、ムカつくのがね。
うちのチームはPC作業をまだしていなかったから、私の家のPCのパワポで基礎を作ってそれを学校のUSBと自分のUSBに保存してたんだよ。
その後みんなに見せる為に学校のPCに学校用USBは接続しちゃったけど、私のUSBは状況的に絶対にウイルスに感染してないでしょ。
それを先生に伝えて「自分のUSB使っていいですか?」って聞いたら「危ないからダメ」って言われたのが未だに納得できない」
骨喰『頭の固い教師だな。
それなら絶対安全なのだから許可してもいいだろうに……』
鯰尾『んー……。
万一、それで主のUSBが学校とは別の経路でウイルスに感染していたら、業者呼んで対策したのが無駄になるかもしれない。
んで、その責任はUSBの使用を許可した教師にあるってことになる。
良く言えば念には念を、悪く言えば保身の為にそう判断したんじゃない?』
審神者「あー……。
けど、学校のくせにPCのウイルス対策を今の今までしていなかった連中にうちのパソ子を危ないとか思われたくねーのです。
そもそもさ、グーグルの画像検索の写真や絵を使って作れって学校が指示してるのがおかしいんだよ。
ネットの画像はフリー素材じゃない限り個人の使用を超える範囲で勝手に使っちゃダメなのに、それを病院のお偉いさんとかも来る卒論発表会で大々的に使えって……。
うちのチームなんてネットでもののけ姫の画像使えって先生から指示があったからね!」
骨喰『もののけ姫……?』
鯰尾『ってジブリの?』
審神者「うん。あれ感染症の人が登場するから、「もののけ姫ならみんな知ってるし興味持つから画像使いなよ!」って……。
ネットの写真や個人のフリーじゃないイラスト素材も、規約も読まずに、そもそも規約の存在も知らないで使わせている学校側にむぅーって思ってたけど、ジブリの画像はさすがに私もヤバイと思ってパソコンの先生に相談したら先生はわかってるみたいで苦い顔して「私も前に言ったけど、他の先生達がみんな「良いじゃんそれくらい」って聞いてくれなくてね……。私じゃ立場もそんなに上じゃないし、やっぱりどうしても難しくて……」って言ってた」
鯰尾『数の暴力だね。 その場の正しさは常にで勝った方のもの』
骨喰『よくあることだ。 しかし、ネットの画像を使うことの何がそんなに悪いんだ?
別に悪用しようとしているわけじゃないのだから、良いと思うが』
審神者「私も詳しくは知らないけど、絵も写真もその人が書いたものでその人が撮ったその人のもの。
だから勝手にそれを取って使うのは駄目でマナー違反で、それをしたいならちゃんとその人に「使っていいですか?」って確認が必要らしいの。
こういうイラストとか写真を売って商売している人もいるし。
だから「誰でも好きに使っていいですよ」って公言している人以外の絵や写真を勝手に持って帰って勝手に使うのは悪用じゃなくてもダメなんだって」
鯰尾『ネット上の万引き、みたいな感じ?
……いや、図書カードに名前を書かずに勝手に図書館の本を家に持って帰るの方が近いのかな?』
骨喰『なるほどな。 それなら悪用しなくても持ち帰るだけで悪いことだ』
審神者「まあ、私も自分でサイトとか作って素材屋さんを利用しなきゃ気づかなかったことだし。
素材屋さんで読んだ利用規約以上のことは知らないし、アウトとセーフの基準を全部ちゃんと把握している自信はないけど。
教師という立場なんだから、先生たちはもっとちゃんとこういう事を教えるべきだよ。
そして知らないのなら知っている人の話に耳を傾けるべき。
それができない人が大勢教師なんかやってるから、何も知らない若い世代が爆誕しちゃうんだよ。
人の教えに耳を傾けられない人間が、人にものを教えようなんて1000年早いのです」
鯰尾『専門の話ってあんまり聞かないけど、その頃も主は大変だったんだねー』
審神者「そーでもないよ。
専門は今までの学校生活の教訓を活かして「友達は作らない・教師はとことん利用する・勉強の為の時間は惜しまない」って目標を掲げて一番充実した学生生活だった。
それまでの私の学生生活の敗因は外部からの影響を除いて「無理に友達を作ろうとした・わからない時に教師に聴くという選択肢が自分の中になかった・勉強をする意味を見出せずにいた」この3点がすごく大きかったから、それを理解した上で強くてニューゲームで通っていた専門は小・中・高・大学と比べてすごくのびのびと勉強できた。
クラスに嫌なやつが1人しかいなかったのもかなり大きかったかな」
骨喰『本当に、勉強の為だけに通っていたんだな……』
審神者「うん。だって学校って勉強する所でしょ。
先生にはよく「友達を作れ」って言われたけど、ノーサンキューなのです。
……あの子には、もう少し何かしてあげたかったけど」
鯰尾『あの子って?』
審神者「うちのクラスは年齢バラバラで、半分が高校からそのまま進級してきた子で、もう半分が20代前半。
その中に一人だけ昭和生まれのクラスメイトがいてね、でも見た目はすごく可愛くて若々しくて他の子もみんな実年齢に気づかないで同世代だと思って接してた。
名前の順が近かったから最初は席が近くて同じグループになることも多くて、私もたまに話もしてたけど。
その子は他に仲の良い子がいたから、私は自分の方針に従って無理にその輪に入ろうとはしなかったのね。
だけど、それから暫くして朝パソコン室を借りて自主勉をしていたら、いつも誰も来ないのにその子が来て、久し振りに一緒にお話ししたの。
「若い子たちと話すのは大変だよー。 〇〇さん(私)はみんなと違って落ち着いてるから一緒にいて一番気が楽」って言ってくれたけど、その子はいつも他の子と楽しそうにしていたから、その時の私は話の種かお世辞ぐらいにしか思わなくてさ。
……でも、それから暫くしてその子、学校に来なくなっちゃってね。
仲良くしてた子たちも「どうしたんだろうね」って事情がよくわからないようで、だけど私にはなんとなくわかったの。
その子が来ないようになるちょっと前に「平成生まれの人はこういう手続きをして、昭和生まれの人はこういう手続きをしてください」って説明が先生からあって、その時にクラスの一人が「昭和生まれなんてこの中にいるはずないじゃんwww」って馬鹿笑いしてたんだよ「昭和生まれの人がいるから先生はこういう説明してるのに、馬鹿だなぁー…」ぐらいにしか私は思わなかったけど、多分、あの子はいつも気にしないようにしている傷口を抉られるような思いだったんだと思う。
普段だって友達と楽しそうにしていたけど、クラスに馴染もうと無理をしていたのかも……。
そういうの、身に覚えがあるからよくわかる、それがとっても辛いことも…………。
……パソコン室で会ったあの時、気づける機会があったのに、私、全然あの子のこと気に掛けてあげられなかった。
もしも気に掛けて気づいてあげられたら、言葉を掛けて悩みに寄り添ってあげることができたかもしれないのに。
…………それがちょっと心残りかな」
審神者「私、その子と一番歳が近かったのにねぇー。
察しが悪かったのです…………」
骨喰『普段から元気そうだったんだろう。 なら仕方ないさ』
審神者「でもメッセージは確実にあったもん。
私がそれを聞き流しちゃったんだよ」
鯰尾『……だから主ってちょっと鬱陶しいぐらい俺達のささやかな言動をいつも気に掛けるんだろうね』
審神者「かもね。 助けられる人はできれば助けたいから。
まあ、気に掛けたって、私、絶望的なくらい察しが悪いんだけど」
骨喰『そうか? 言うほど悪くはないと思うぞ』
審神者「察しと気と融通が利かないと他人からはよく評価される。 ……あ」
鯰尾『ん?』
骨喰『写真……』

審神者「わー、なつかしぃー」
鯰尾『えっ……嘘……主なの、これ?』
骨喰『まるい……』
審神者「ダイレクトだね、骨喰」
骨喰『すまない。あまりにも今と違うから』
鯰尾『それ持って鏡の前に立ってみろよ、別人が映ってるぜ?
この時の頬肉を一体どこに落としてきたんだよ』
審神者「職場」
鯰尾『過酷な労働だったんだね……』
審神者「就職してから10kgぐらい落ちたから。
けど、この頃は中学時代の知り合いに毎日のように外食に誘われてそれに付き合ってたせいでこんなにころころしてたの。
私、食べるとすぐに太って食べないとすぐに痩せる体質っぽくて自分じゃあんまり食べないから、周りの影響で体型すぐに変わるよ」
骨喰『ならきっと、俺と兄弟で毎日料理を作って主殿に食わせたらすぐに太るだろうな』
審神者「ころっころになるのです。
んー……でも、今も痩せてるってほどじゃないんだよなぁ……。
くびれはあるけどポニョってるし」
鯰尾『それくらいで丁度良いよ。
痩せ過ぎで折れそうな女の子より、ほどよく肉付きのある方が俺は好みだよ』
審神者「そうだったね……。
鯰尾はちょっとぽっちゃりしていて「はわわ><」みたいな子が好みだったね……」
鯰尾「はわわ……? あー……。
ったく、いつまで
あれを引き摺ってるんだよw」
審神者「別に引き摺ってないし。 鯰尾が好きな子なら良いと思うし」
骨喰『どう見ても引き摺っている』
審神者「引き摺ってませんー」
鯰尾『ねえ、主。 俺の好きな子なら良いって言った? 言ったよね?
兄弟もしっかり聞いただろう? ってことは……
主、大好きーっ!!』
審神者「うっ、るさいなっ!ご近所迷惑だぞ!」
鯰尾『ご近所って俺の声主にしか聞こえないじゃん』
歌仙『人間には聞こえなくても僕らには聞こえている。
主の言う通りだ。 五月蝿いよ、鯰尾くん』
鯰尾『そんなに五月蝿いならこっちに意識向けなきゃいいじゃん』
歌仙『五月蝿いと嫌でもこちらが気になってしまうんだよ。
きみは少し自重という言葉を覚えたほうがいい』
鯰尾『え?なにそれ?俺、わかんなーい』
歌仙『……彼の何が良いんだい?』
審神者「んー、なんだろう。 全部」
歌仙『はぁ……』
鯰尾『へへ~』
骨喰『すまないが、大目に見てやってくれ』
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